白山手取川ジオパーク との連携

Partnership with Hakusan-Tedorigawa Geopark

ジオパークとは?

白山手取川ジオパーク

 「ジオ」とは,地球の大地のことを表す言葉です.大地がもたらす様々な諸現象(地質現象)は,我々に実に多様なものをもたらしてくれました.目を見張るような地形,地球の過去を教えてくれる地層や岩石の露出,風景,そして化石の産出などなど...ここではそれらを「地質遺産」と呼びます.地質遺産は,遠い昔から人々の生活に結びついてきました.山岳信仰はその典型例ですね.温泉だって,考えてみれば地質遺産と人々の暮らしが結び付いた例です.(詳しくは地質学会のジオパークのページや,日本ジオパーク委員会のページをご覧ください)

白山手取川ジオパークは「水」のジオパーク

白山手取川ジオパーク

 地質遺産とは言いますが,地質現象は現在も続いているプロセスです.例えば,手取川扇状地は地質遺産でもあり,現在も形成プロセスのどまんなかにある構造体でもあります.白山や手取川の形成・存在という地質現象を背景にして,町ができました.旧鶴来町や旧松任市市街地です.そこでの産業に欠かせない水も,また地質遺産といえるでしょう.

  水が人々の生活とは切っても切り離せないことは,お話しするまでもありません.しかし地質現象もまた水とは切っても切り離せないのです.白山手取川ジオパークは「水」をテーマにして地質遺産と人々の生活のつながりを学ぶユニークなジオパークです.(白山手取川ジオパークについては,こちらに説明があります)

長谷川研出身の日比野剛さんが中心メンバー

 白山手取川ジオパークは,白山市全域を対象としたジオパークです.白山市は数年前に大合併により誕生した広大な市ですが,広大であるが故,一体感を醸成するのに苦労してきました.そこで取り組んでいるのがジオパークです.白山と手取川は,白峰地区でも松任地区でも,昔から人々の生活と心とともにある,大切なものです.これをテーマにして市民が一丸となれるよう,頑張っています.

  このジオパークの推進母体は白山市の「ジオパーク推進室」です.ここで活躍するのが長谷川研OBの日比野さんです.ジオパークが本格的に始動するまでは,白峰にある「白峰化石調査センター」の調査員として活動していましたが,地質学や古環境学の知識をかわれて,ジオパークの推進役に抜擢されて頑張っています.

長谷川研と手取層群,そしてジオパーク

 長谷川研との直接のご縁は以上の通りですが,実は白峰,そしてそこに分布する手取層群というジュラ紀~白亜紀の地層は,長谷川研とは深い関係があります.まず,長谷川本人の卒業研究が,手取層群の層序(地層がどのような順番で重なり,どのような地域にわたって分布しているのかを考えること)だったのです.当時の指導教官である山田一雄先生の下で,半年間手取層群の研究に没頭しました.今,私が白亜紀の研究を続けているのも,初めての野外調査研究で手取層群に魅かれたからです.Welcome to Cretaceous Parkという門をくぐったのはここからでした.金沢大学に赴任してから,身近にある白亜紀の地層を教材や学生の研究材料として活用してきました.日比野さんも白峰を含む手取層群の研究で卒業論文と修士論文を書きました.その後,石川県と白山市で行っている「桑島化石壁」の産出化石調査に関して,調査協議会委員として学術側から意見する立場で加ってきました.

  手取層群は1億3千万年程度前の「水」が大地を削り,湖や川,海のほとりなどに土砂をためてできたもの.そこに恐竜を含む多様な生物が生きていました.手取川とその末端の海岸では,まさに今,その土砂をためるプロセスが起きています.そこで人々は暮らしています.時代を超えて「水」はいつでも命をはぐくんでいるんですね.時間を旅している気持ちになりませんか.そんな気持ちでジオパークを歩いてほしいと思っています.
金沢大学自然システム学類と白山市では,連携協定締結を目指しています.学生の実習に利用し,社会貢献を目指す大学側と,学習素材や機会を提供して実績を積み上げるジオパーク側双方がプラスになるような仕組みを検討中です.